事業再生とは、企業が倒産状態に陥った場合に、そのまま会社を清算するのではなく、債務の一部免除や弁済期の繰り延べなどを行いながら、収益力のある・競争力のある事業を再構築することをいいます。
事業再生の方法
事業再生の方法には,大きく分けて「私的整理」と「法的整理」の2つがあります。私的整理とは,裁判外で金融機関との話し合いにより再生を図る方法です。これに対し,法的整理とは,裁判所の監督の下,法的に企業の再生を図る方法です。
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メリット |
デメリット |
法 的 整 理 |
●個別の債権回収を止められる ●反対債権者も強制できる ●スケジュールが決まっている ●透明性・公正性が担保されやすい ●税務処理が比較的明確 |
×全ての債権者が対象となる ×倒産の事実が公表される |
私 的 整 理 |
●対象債権者を限定できる ●倒産の事実が公表されない ●回収額の極大化 |
×対象債権者全員の同意が必要 |
脱毛エステ大手のミュゼ、任意整理 社長「事業は継続」 朝日新聞デジタル 10月6日(火)11時59分配信 脱毛エステ大手の「ミュゼ・プラチナム」を運営するジンコーポレーションが多額の負債を抱え、銀行団との任意整理に入っていることがわかった。高橋仁社長が6日、都内で会見して明らかにした。事業は継続したうえで、債務返済に向けた再建計画をまとめ、来年3月までに銀行団の同意を得る、と説明している。 ミュゼは全国に脱毛エステサロン約190店を展開し、会員は約270万人。8月下旬から9月上旬にかけて解約件数が増加し、前もって支払ったエステ代金を顧客に返済する費用などがかさんだという。昨冬以降、スタッフが不足気味にもかかわらず宣伝広告を打ち続け、予約が取れないなどの苦情が出ていた。 常陽銀行(水戸市)など主要取引銀行のほか、電通など広告会社にも負債があり、支払い猶予の交渉をしている。負債額は明らかにしていない。 朝日新聞社 |
企業再生の手順
企業再生の第1歩目は,現状分析(定量分析・定性分析)をして問題点を把握することです。その上で,業務改善計画を作成し,実行,結果の分析,再計画,再計画の実行・・・・という流れになります。
(1)現状分析
現状分析で重要なのは、「時価貸借対照表」による分析と、損益計算書と営業収支から出てくる「キャッシュフロー」による分析です。「時価貸借対照表」とはいいかえれば、今会社を清算した時の財務状況を示すものですから、会社が再生できるかどうかの重要な判断材料となります。また、企業再生には、キャッシュフローを確保できることが絶対条件になります。営業利益が出ているのかどうか、この辺りがポイントになります。
(2)業務改善計画の策定
現状を踏まえて基本方針を決めます。ここでは、どうすれば現状を打破できるのか、利益が出る事業構造に転換できるのか、そのための方向性を定めます。そして、会社をどのようにしたいのか、ビジョン(経営理念)を打ち出すことが重要です。
貴社にあった再生方法は?
長引く経済不安を背景に遅れてきた中小企業の再生問題ですが、近時は企業再生をバックアップする環境が整備されてきました。企業の利益・キャッシュフローを最大化するための最善の方法を選択し、迅速に実行することが重要です。
企業再生に必要な3つの対策
企業を再建しようと決めた場合,次の点については,慎重に対処する必要があります。それは「債権者対策」,「金融機関対策」,「従業員対策」です。
(1)債権者対策
経営難に陥っているとの噂が立てば,債権者は債権回収・債権保全を講じてきます。事業の継続に必要な資産を
差し押さえられてしまうと,再建が立ち行かなくなる可能
性があります。また,重要な取引先とは今後も取引を継続
してもらう必要があります。そこで,取引先に理解を得て、債務弁済の猶予を得るよう働きかける必要があります。
(2)金融機関対策
債権者対策同様,金融機関の理解を得ることは必須です。しかし,安易に経営危機に陥っているとの情報を漏らしてしまうと,なりふり構わず債権回収を図ってくる可能性もあります。十分な対策を事前に講じることが重要です。
(3)従業員対策
企業債権には,従業員の協力が必要不可欠です。他方
で,人員削減や労働条件の引き下げ等の対策も講じなけれ
ばなりません。従業員に経営状況をよく説明したうえで,
対策の必要性を理解してもらう必要があります。
アライアンス法律事務所の企業再生支援
企業再生とは、簡単に言えば、ヒト・カネ・モノを再構築し、財務諸表(B/S,P/L,C/F)を改善し、会社を良くするプロセスです。このプロセスは、法律の専門家である弁護士だけではできませんが、弁護士抜きにもできません。
アライアンス法律事務所は,税理士,司法書士,社労士,公認会計士等,各分野の専門家と協力して,貴社の再生を多面的にサポート致します。