Q 後見開始の申立費用はどのくらいかかりますか? |
A 後見開始の申し立ての際、申立手数料などに1~2万円程度,鑑定費用に10万円程度かかります。 |
Q 精神鑑定はどこで受ければいいのですか? |
A 鑑定人は原則として申立人側で確保しなければなりません。主治医がいる場合には主治医に依頼します。主治医がいない場合には,新たに専門医に診察を受けることになります。鑑定医の引き受けてがいない場合には,家庭裁判所にご相談ください。 |
Q 精神鑑定を受けるのに,どのくらいの時間と費用がかかりますか? |
A 後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件の終局事件のうち,鑑定を実施したものは,全体の約2割ほどです。 鑑定の期間は,1か月以内のものが最も多く,全体のおよそ半数となっています。鑑定費用については,5万円以下のものが6割以上で,約99%が10万円以下となっています。 |
Q 誰を後見人(保佐人・補助人)に選任するのがいいですか? |
A 成年後見制度を利用するにあたって、もっとも大事なのが、だれを選任するかです。一般に、①家族、②知人、③第三者の中から選定することが考えられますが、それぞれメリットデメリットがありますので、慎重に検討しましょう。 |
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家 族 |
知 人 |
第三者 |
メリット |
本人のことを一番よく知っている |
本人のことを知っている あまり費用がかからない |
専門的な問題にも対応できる |
デメリット |
財産の混同・流用が起きやすい |
プライバシーを守れない |
費用がかかる |
Q 後見が開始されるとどんな制限がありますか? |
A 後見が開始されると,被後見人には一定の資格制限・財産行為に関する制限が与えられます。 (1)資格制限 後見が開始すると,一定の資格制限があります。以下代表的なものを挙げます。 (2)財産に関する権限 後見が開始すると,後見人が選任され,本人を代理することになり,本人がした行為を取消すこともできます。ただし,日用品の購入等,日常生活に関する行為は取り消すことができません。 |
後見開始による資格制限 |
1.選挙権・被選挙権 |
2.印鑑登録の抹消 |
3.会社の役員(株式会社の取締役,監査役等) |
4.専門的資格を要する職業(弁護士、司法書士、弁理士、行政書士、公認会計士、税理士) |
5.免許や登録が必要とする営業(古物営業、警備業、旅行業、質屋営業、薬局、一般労働者派遣業) |
Q 本人が身寄りのない高齢者であっても成年後見申立てをすることはできますか? |
A 後見・補佐・補助開始の審判の申立権者は,本人,配偶者,4親等内の親族,未成年後見人,未成年後見監督人,後見人,保佐人,保佐監督人,補助人,補助監督人の他に,検察官,市町村長となっています。本人の判断能力が低下し,財産管理や身上監護等ができなくなったとき,身寄りのない者であっても適切に後見制度を利用できるようにするために,市町村長にも申立権が与えられています。 |
Q 申立手続きにはどのくらいの期間を要しますか? |
A 申立てから審判までの期間は事案にもよりますが、およそ2~6ヶ月で審判に至ります。なお,審判が下りた後、2週間経過後に審判は確定します。 |
Q 成年後見人には誰でもなれますか?なれない人はいますか? |
A 民法は,以下の成年後見人欠格事由を定めています。 |
成年後見人の欠格事由 |
1.未成年者 |
2.家庭裁判所で免ぜられた(解任されたことがある)法定代理人,保佐人,補助人 |
3.破産者(免責許可決定が確定してる場合には成年後見人になれます) |
4.被後見人に対して訴訟をし,またはした者及びその配偶者ならびに直系血族 |
5.行方の知れない者 |
Q 成年後見が開始すると,他人にそのことが知られてしまわないか心配です。 |
A 従来,禁治産・準禁治産制度が利用されていたころは,本人の戸籍に禁治産宣告・準禁治産宣告の事実が記載されていました。しかし,戸籍にのってしまうことについての抵抗が非常に強く,制度の利用をためらうことも多くありました。そこで,成年後見制度においては,戸籍の記載に変わる成年後見登記制度が設置されました。登記事項証明書の交付請求者は,プライバシー保護の観点から,本人の配偶者,4親等内の親族,職務上必要とする国・地方公共団体の職員等に限定されています。 |
Q 成年後見が開始すると,後見人はどのような事務を行うのですか? |
A 成年後見開始以降の成年後見人の職務としては,大きく分けて,①財産管理行為と②身上監護に関する職務があります。以下,主な事務を挙げます |
財産管理 |
預貯金の管理 |
収入・支出の管理 |
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証券類等金融商品の管理 |
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税務処理 |
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身上監護 に関する職務 |
医療に関する契約 |
看護に関する契約 |
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介護への入所契約 |
Q 後見人が本当に職務を実行してくれるのか心配です。 |
A 成年後見制度においては,後見人を監督する制度が設けられています。 (1)家庭裁判所による監督 家庭裁判所は,いつでも,成年後見に対して後見の事務の報告・財産目録の提出を求め,後見人の事務活動や被後見人の財産調査を調査することができます。通常,家庭裁判所は半年から1年に一度報告書を提出させ,成年後見人を定期的に監督しています。 (2)成年後見監督人による監督 裁判所は,親族等の申立てもしくは職権で成年後見監督人を選任することができます。成年後見監督人は後見人に事務の報告を求め,または財産目録の提出を求め,後見人の事務を監督します。 |
Q 成年後見人の費用や報酬は誰が,いくら負担するのですか? |
A 後見人事務に必要な費用は,被後見人の財産の中から支出されます。成年後見人の報酬は,家庭裁判所の審判により決せられ,被後見人本人の財産から報酬の支払いを受けることになります。保佐人・補助人も同様です。 |
Q 補助開始の審判を受けた後,認知症が進んだ場合にはどうすればいいですか? |
A 補助開始の審判を受けた後,本人の症状が悪化して判断能力がさらに低下し,事理弁識能力が「著しく不十分」ないし「欠く状態」になった場合,現状にあった援助を受けるために,「保佐」ないし「後見」の申立てをすることができます(申立なしに当然に移行することはありません)。 |
Q 成年後見申立てが認められないことはありますか? |
A 平成22年度統計(最高裁発表)によると,約93%が認容されて終結しています。却下されたのは,0,3%程度に過ぎません。その他は,取下げや本人死亡等なので,手続き的要件を満たしていれば,ほぼ心配はありません。 |
成年後見・任意後見に関するご相談で弁護士をお探しなら、東京都墨田区錦糸町・押上 アライアンス法律事務所までお気軽にご相談ください。