建物の瑕疵、欠陥住宅、
リフォームトラブル等に
泣き寝入りしない
正しい法的対応を
弁護士が解説します。
1 未払い代金の支払いを停める
瑕疵が発覚した時点でまだ未払い代金がある場合には,代金の支払いを留めます。先に支払ってしまうと,いつまで経っても補修しない恐れがあります。
2 第三者の検査を求め、「欠陥原因」を探る
第三者の建築士の鑑定を受け,欠陥の発生箇所・原因・ 補修方法について調査します。重要なのは、欠陥の出た場所(欠陥現象)を特定することではなく、その原因(欠陥原因)を特定することです。壁に水漏れのシミができた場合、壁紙を張り替えるだえでは意味がありません。その水漏が、壁の亀裂から入ってきたのか、天井から伝わってきたのか、原因となる個所を特定しなければなりません。そのうえで,欠陥とみられる現場を保存(写真等)し,記録を作成します。
建築士の調査報告書には、その後の裁判を踏まえて、「どの法令のどの条項に違反するのか」を記載してもらうと有益です。また、補修費用の見積もりも取ってもらいます。
3 交渉(補修ないし損害金の支払いを求める)
業者の責任者と交渉をし,交渉日誌を作成します。後の訴訟において業者との間で「言った言わない」ということを避けるためです。補修を期待できない場合には,損害金の請求に切り替えます。
なお,示談書を作成するにあたっては,以下の点に留意しましょう。
1.補修方法を具体的に特定した補修計画書,補修図面及び補修工程表を添付する |
2.補修工程表には工期を明確にし,工期内に補修が完了しない場合の遅延損害金の定めを規定する |
3.補修工事によって家屋を汚損したような場合の二次的損害発生仁科えて,その補修責任もしくは損害賠償の定めを明記する |
4.補修工事の技術的限界から将来に不安が残る場合は,長期の保証をとっておく |
5.依頼した建築士の監理に服すべきことを確認しておく |
6.請負代金の最終金支払を留保して置いた場合は,補修工事完了時に留保残代金全部を支払わずに一部を残しておき,1~2カ月後に検査して不具合のないことを確認してから残りを支払うものとする |
4 法的手続き
ある程度の期間が経過しても交渉がまとまらない場合には,法的手続きをとります。
5 建築紛争における責任の追及先:建売住宅・マンションの分譲の場合(不動産売買契約)
相 手 |
法的構成 |
売主 |
瑕疵担保責任 |
施工業者・設計士等 |
不法行為責任 |
事 案 |
9階建ての共同住宅・店舗として建築された建物(以下「本件建物」という。)を,その建築主から,Aと共同で購入し,その後にAの権利義務を相続により承継した上告人が,本件建物にはひび割れや鉄筋の耐力低下等の瑕疵があると主張して,その設計及び工事監理をした被上告人Y1並びに建築工事を施工した被上告人Y2に対し,不法行為に基づく損害賠償として,上記瑕疵の修補費用相当額等を請求する事案 |
判 旨(最判平成23年7月21日) |
「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」とは,居住者等の生命,身体又は財産を危険にさらすような瑕疵をいい,建物の瑕疵が,居住者等の生命,身体又は財産に対する現実的な危険をもたらしている場合に限らず,当該瑕疵の性質に鑑み,これを放置するといずれは居住者等の生命,身体又は財産に対する危険が現実化することになる場合には,当該瑕疵は,建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当すると解するのが相当である。 |
6 建築紛争における責任の追及先:注文住宅の場合(請負契約)
相 手 |
法 的 構 成 |
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施工業者 |
瑕疵担保責任 |
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設計者等 |
契約がある場合 |
債務不履行責任 |
契約がない場合 |
不法行為責任 |
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法律構成 |
時効・ 除斥期間 |
備 考 |
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未完成建物 |
債務不履行 |
時効10年 |
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完成後の建物 |
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売買契約 (建売住宅・マンション) |
瑕疵担保責任 |
瑕疵を知ってから1年・引渡しから10年 |
契約で期間を短縮している場合があることに注意 |
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請負契約 (注文住宅) |
瑕疵担保責任 |
木造:引き渡しを受けてから5年 |
契約で期間を短縮している場合があることに注意 |
コンクリート、鉄骨造、石造:引き渡しを受けてから10年 |
法律構成 |
時効・除斥期間 |
備 考 |
住宅品質確保推進法 |
引き渡しから10年 |
対象は 基本構造部分 |
不法行為 |
知った時から3年 不法行為のときから20年 |
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建築紛争には
建築技術に関する知識だけではなく
法的知識が要求されます。
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