社員が逮捕された場合、まず会社側がすべきことは、情報収集です。処分をすべきか、どのような処分をすべきかを決める前提として、正確な事実関係を把握することが重要です。
1.事件の内容 いつ、どこで、誰に、誰と、何をしたのか 2.逮捕時の状況 いつ、どこで逮捕されたのか 3.逮捕後の状況・今後の見込み 留置されている警察署 本人は自白しているか、否認しているか 起訴・不起訴の見込み、 釈放の見込みの有無、判決の見込み |
(1)本人が事実関係を認めている場合
本人が事実関係を認めている場合には、会社としての処分を検討することになります。使用者は、企業秩序維持のため、労働者に対して、懲戒処分を課すことができますが、その事由及び懲戒の種類・内容は、あらかじめ就業規則等に定めておくことが必要です。就業規則に記載された懲戒事由が「犯罪行為を行い、有罪判決を受けたとき」というような定めになっている場合には、捜査段階はもちろん、有罪判決が出ていない段階で処分を行うことはできません。このような事態を防ぐためには、予め就業規則の規定を見直しておくことが必要です。
懲戒処分は、企業秩序を害したことに対する制裁ですから、その生産は企業秩序への影響の程度に応じたものでなければなりません。職場外で業務との関連性が全くないような場合には、懲戒処分ができないのが原則です。企業秩序に影響を及ぼす場合であっても、事件の内容、社員の地位、会社の業務や対外的信用への影響の程度等、諸事情を考慮して、相当な処分にとどめる必要があります。
(2)本人が事実関係を否認している場合
本人が事実関係を否認している場合、この段階で処分を行うことは避け、刑事処分や判決が出るのを待つべきでしょう。無罪判決が出た場合はもちろん、嫌疑不十分で不起訴になった場合には、非行の事実はなかったものとして扱うべきで、これに対する処分はできません。捜査段階では、本人との面会を禁止されている場合もあり、事実関係を確認できないこともあります。その場合には、事実関係が確認できるまで処分は保留しておくべきでしょう。
(1)まず、社員から有給休暇を取得したい旨の申出があれば、有給休暇の取得を認めるよう配慮が必要です。
(2)社員からこうした申出がなければ、欠勤扱いとなります。しかし、逮捕・勾留されたとの事実が明らかである以上、無断欠勤扱いすることは避けるべきです。
(3)社員が起訴され、保釈が認められず、欠勤が長期に亘る場合には、休職と扱われることが多いようです。
(4)就業規則に起訴休職の定めがある場合、起訴休職は、刑事裁判によって有罪が確定するまで懲戒処分を猶予するという趣旨もありますので、判決をまって処分を下すことになります。このような事態を防ぐため、起訴休職制度の導入には慎重であるべきともいえます。
従業員が犯罪を犯して逮捕された。
今後の捜査手続きは?
従業員の処遇は?
会社の責任は?
まずは弁護士にご相談下さい。