ボールよけ転倒死、男性の遺族が逆転敗訴 親の子供への責任「被害の予見可能性で線引き」 最高裁初判断(9日)
事案
小学校の校庭から蹴り出されたサッカーボールをよけようとして転倒した後に死亡した男性の遺族が、ボールを蹴った当時小学生の元少年(23)の両親に損害賠償を求めた訴訟。
愛媛県今治市で平成16年2月、バイクを運転していた当時80代の男性が、校庭から転がり出たサッカーボールを避けようとして転倒、足を骨折。直後に痴呆の症状が出て、事故から約1年半後に男性は肺炎で死亡した。男性の遺族が約5千万円の賠償を求め提訴。
弁論で両親側は「一般的な家庭と同程度に危険な遊びをしないよう指導するなど監督義務を果たしていた。2審判決は誤りだ」と主張。男性側は「両親には周囲に危険を及ばさないように遊ぶよう少年を指導する義務があった」と反論していた。
争点
子供の行為と死亡の因果関係に争いはなく、元少年の両親が監督義務を尽くしていたかが争点。民法では、子供の行為で被害が生じた場合、親らが監督義務を尽くしていなければ子供に代わり賠償責任を負うと規定している。ただ、過去の訴訟では因果関係が認められた場合、「被害者救済」の観点から無条件に親に賠償を命じてきた。
結論
最高裁第1小法廷は、「子供の行為が及ぼした被害に対する予見可能性の有無で、親らが監督義務を尽くしたかどうかを線引きできる」との判断を示した。
同小法廷は、今回の子供の行為について「ゴールに向かってボールを蹴る通常の行為で、道路に向けて蹴ったなどの事情はうかがわれない」と指摘。両親が普通のしつけをしていたことなども考慮し、今回の事故を「予測できたとはいえない」として、監督義務を尽くしており、賠償責任は負わないと判断した。
2015.4.9 15:48産経ニュース参照