事 案 |
マンションを建設するために被告から土地を購入した原告が,土地の引渡し後に,地中から建物のコンクリート基礎やオイル類といった障害物が発見されたため,それらを撤去,処理する費用や,マンション建設の遅れを取り戻すための突貫工事費用等の負担を余儀なくされたとして,被告に対し,瑕疵担保責任特約に基づく損害賠償及び遅延損害金を請求した事案 |
争 点 |
汚染土壌が存在したことにより,本件土地に瑕疵があるといえるか否か |
規 範 |
本件土地に瑕疵があるか否かの判断は,商法526条が基礎とする民法570条の解釈に準ずるものと解される。・・・・・・・民法570条にいう「瑕疵」とは,売買の目的物が,その種類のものとして取引通念上通常有すべき性状を欠いていることをいう。そして,宅地の売買において,地中に土以外の異物が存在することが即土地の瑕疵に当たるとはいえないのは当然であるが,その土地上に建物を建築するについて支障となる質,量の異物が地中に存在するために,その土地の外見から通常予測され得る地盤の整備,改良の程度を超える特別の異物除去工事等を必要とする場合は,宅地として通常有すべき性状を備えないものとして,土地の瑕疵に当たるというべきである。 |
判 旨 |
本件土地は,東京都江東区に所在する地積約800平方メートルの宅地であり,比較的大規模の建物を建築できるものであること,原告は,分譲用マンションを建設する目的で本件土地を購入したものであり,被告もこれを了解していたこと,オイル類によって汚染された土壌は,D建設がマンション建築のための基礎工事(根伐工事)を行っている際に発見されたこと,汚染土壌は,量にして合計1200立方メートルにのぼり,その形状は黒色で部分的には泥状になっているところもあったこと,汚染土壌が雨等によって水分を含むと,強い悪臭が発生したこと,オイル類によって汚染されて悪臭を発するような土壌は,産業廃棄物に該当するため,これを処分するためには,通常の残土処分に比べてかなり高額の廃棄費用を負担しなければならないこと,以上の諸事実が認められる。 してみると,本件土地における土壌汚染は,マンション建設の基礎工事途中で発見される程度に浅い位置において,多量のオイル類を含有し,しかも,容易に悪臭を発生し得るような状態にあったというのであるから,本件土地に基礎を置き,多数の住民を迎え入れることになるマンションを建設することを妨げる程度に至っており,特別に費用をかけてでも処理する必要があるといわざるを得ない。したがって,本件土地は,取引通念上通常有すべき品質,性能を欠くというべきであり,上記③の土壌汚染は本件土地の瑕疵に当たると認めるのが相当である。 |
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