事 案 |
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「a」と称してコンビニ型店舗をチェーン展開して経営する株式会社である被告の店舗で勤務していた原告が,①店長としての扱いを受けた平成19年5月16日以降の労働契約に基づく未払の割増賃金及び休日割増賃金の合計74万8923円並びにこれらに対する訴状送達の日の翌日(平成20年5月29日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払,②同未払割増賃金に係る労働基準法114条に基づく同額の付加金の支払及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案 |
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争 点 |
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被告は、被告店舗の店長であった原告は労働基準法41条2号に規定する「監督若しくは管理の地位にある者」(以下「管理監督者」という。)に該当するとして,割増賃金等の支払を争った。 |
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規 範 |
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当該労働者が職務内容,責任及び権限に照らし,労働条件の決定,その他の労務管理等の企業経営上の重要事項にどのように関与しているか,勤務態様が労働時間等の規制になじまず,また,自己の出退勤につき一般の労働者と比較して自由な裁量が認められているか,賃金等の待遇が管理監督者というにふさわしいか否かなどの点について,諸般の事情を考慮して検討すべき |
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具体的検討事項 |
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(1)店長の職務内容、責任及び権限 |
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ⅰ |
店長の権限範囲等 |
店長は被告の正社員の3分の2を占める。店長任命研修も短期間かつ簡易なシステム。 |
ⅱ |
人事に関する事項 |
PAを採用する権限はあるが、一般社員の採用・昇格等の権限はない。PA採用も一定の制限あり。シフト作成の裁量にも制約がある。 |
ⅲ |
店舗運営に関する事項 |
店舗独自の商品発売をすることはない。販売促進活動はエリアマネージャー等を通じて上部の判断を仰ぐ。 |
ⅳ |
事業方針への関与の程度 |
月1回開催される店長会議やエリア会議等に出席し、その場で各店長に本社の経営方針、経営戦略等が伝達されるのみ |
ⅴ |
他の従業員の業務内容との比較 |
日常業務内容もPAとの境界があいまい |
(2)原告の勤務態様 |
店長は、その出退勤につき、自由な裁量が認められていると言い難い上、PAと同じ方法により出退勤時刻等が管理されていたのであるから、自己の出退勤に付き一般の労働者と比較して自由な裁量が認められているとは認められない |
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(3)賃金等の処遇 |
店長昇格後に原告が受け取った賃金額は、店長昇格前の額を超えることはなかった |
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結 論 |
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被告の店長として業務に従事していた原告が管理監督者に当たるとは認められない。 |
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