1 投機性の強い先物取引
投資に失敗して、大きな借金を背負い、破産を余儀なくされたという話をよく聞きます。当事務所で破産の相談をされるお客様の中でも、投資の失敗によるものは破産原因の上位にあります。
当然、投資にはリスクが伴います。ただ、金融商品によりその投機性には差があるのです。預金などは、1000万円までは元本が保証されますが、株や外国為替、先物取引などは元本保証がなく、元本割れする恐れがあります。ただ投機性の強い商品の怖さはこれだけではないのです。まずわかってほしいことは、先物取引は、投機性が非常に強い商品であることを認識してほしいということです。
2 先物取引の仕組み
先物取引がどれほど怖いものかを具体的に株式等と対比して見ていきましょう。 先物取引の仕組みについて、簡単に説明致します。
(1)レバレッジ効果
先物取引とは、読んで字の如く、ある商品について現時点で将来その時点での相場で決済することとして売り買いをすることを約する取引をいいます。すなわち、ある商品についての現時点での価格と将来決済しなければならない時点での差額が損益となるのです。これだけであれば、差額分だけの損で済むはずですが、先物取引の怖さは、証拠金を入れることによってその何倍、何十倍もの取引をすることができる点です(レバレッジ効果)。当然、差金もレバレッジ分だけ増減することになります。株式の場合には、資本充実の原則と言って、実際に株式に見合う金銭を払い込まなければならず、先物取引のように払い込んだ金銭以上の取引はできません。そして、損をするとしても払い込んだ金銭だけで済むのです(有限責任)。
(2)証拠金
また、先物取引では、担保力をつけるため証拠金が必要ですが、差金が証拠金の50パーセントを超えると証拠金を追加で入れなければなりません(追加証拠金)。株式は、全額払い込みが原則ですからこのような問題は生じません。
(3)限月
更に、先物取引は先の決められた時点での決済が必ず必要になります。株式では株価が下がった場合売らずに手元に残し株価が上がるのを待つということもできますが、先物取引では差金で損をしていても必ず決済が必要となってしまうのです。この決済の日を限月といいますが、限月は6種類くらい用意されています。
(4)見切り千両
このように、先物取引は株式に比し投機性が強い、言い換えれば損害が莫大になるということがおわかりいただけたと思います。
更には、先物市場の分析、いわゆるファンダメンタル分析が必要になりますが、一般の人には先物市場の分析などなかなかできません。結局、先物取引会社の担当者の言いなりとなり、不要な売買を重ね手数料ばかりが嵩み、取引数(建て玉)を増やされ、損切りといって早い段階で取引を終了(仕切り)させれば損害が小さく済んだものを仕切りを拒絶され、最終的には莫大な借財だけ残ってしまうということになるのです。先物取引の世界では、「見切り千両」という言葉があります。先物取引が出来る人とは、先物取引の投機性を熟知した上で、担当者任せではなくご自身で玉を建て、最終的にはご自身の資産で賄える程度の取引をすることができる人のみなのです。
ところが、実際に先物取引をしているのは、このような個人投資家だけではありません。むしろ、これまで投資などしたこともないような人が先物会社の巧妙な営業、すなわち「損はしません。儲かりますよ」との言葉に騙されてどんどん玉を増やされ、不要な売買を重ね、仕切ろうとしても「今仕切ると大損害ですよ」と仕切りを拒否され最後は弁護士に泣きついて来る例がほとんどなのです。
3 お気軽にご相談ください
先物取引をしている方、またこれからしようとしている方、今一度よく考えてみてください。また,現在取引中の方で,この文章を読んで、不安になられた方、建て玉の分析をしてみますのでまずはご連絡ください。
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