1. 成年後見人の役割
(1)成年後見人の役割
成年後見人の役割は,本人の意思を尊重し,かつ本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら,本人に代わって,財産を管理したり必要な契約を結んだりすることによって,本人を保護・支援することです。
(2)成年後見人の仕事
成年後見人の仕事は,本人の財産管理や契約などの法律行為に関するものに限られており,食事の世話や実際の介護などは,一般に成年後見人の仕事ではありません。
成年後見人の最初の仕事は,被後見人の資産(不動産,預貯金,現金,株式,保険等),収入(給料,年金等),負債としてどのようなものがあるかなどを調査し,年間の支出予定も立てた上で,財産目録及び年間収支予定表を作成して,指定された期間内に家庭裁判所又は後見監督人に提出することです。
後見人の主な仕事 |
1.財産管理業務 |
2.身上監護事務 |
3.家庭裁判所への報告事務 |
4.変更事項の登記 |
(3)成年後見の終了・辞任
成年後見人の仕事は,本人が病気などから回復し判断能力を取り戻したり,亡くなるまで続きます。申立てのきっかけとなった当初の目的(例えば,保険金の受領や遺産分割など)だけをすればよいというものではありません。
成年後見人を辞任するには,家庭裁判所の許可が必要となり,それも正当な事由がある場合に限られます。
後見人の最後の仕事 |
1.終了の登記 |
2.財産目録の作成 |
3.財産の引渡し |
4.家庭裁判所への報告事務 |
2. 成年後見人の責任
成年後見人は,本人の利益のために,本人の財産を適切に維持し管理する責任を負っています。保佐人,補助人も,与えられた権限の範囲内で同様の義務を負っています。
成年後見人が本人の財産を不適切に管理した場合,成年後見人を解任されるほか,損害賠償請求を受けるなど民事責任を問われたり,業務上横領などの罪で刑事責任を問われたりすることもあります。
業務上横領容疑:成年後見人が500万円着服容疑 成年後見人として管理していた妹(33)の預金口座から500万円を着服したとして、群馬県警は9日、渋川市渋川、会社員、M(35)と元妻で同市有馬のパート、E(35)の両容疑者を業務上横領容疑で逮捕した。M容疑者は「他にも2500万円着服した」と供述しているという。 成年後見人は、精神障害や認知症で判断能力が不十分な人に代わり、家裁から選任された親族や弁護士が財産を管理する制度。 県警捜査2課によると、着服した金は自家用車購入や遊興費に充てられたという。2002年にM容疑者の母親が死亡。生命保険の保険金がM容疑者と妹の口座に入り、M容疑者は翌03年から妹の成年後見人となった。その後、預金管理の報告書を確認した前橋家裁が不正の疑いがあることを発見。昨年、M容疑者を後見人から解任し、県警に告発していた。妹は母親の生前から高崎市内の施設に入所している。M容疑者は妹の世話はしていないという。 【尾崎修二】毎日新聞 2014年09月09日 22時11分 |
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