Q 瑕疵担保責任とは何ですか?
A
(1)売買契約における瑕疵担保責任
売買契約において、売買の目的物に隠れたる瑕疵がある場合、売主は瑕疵担保責任を負います。ここで「瑕疵」とは、①一般に、その種類のものとして通常有すべき品質・性能を欠くこと、②売主が、見本によりまたは広告をして、目的物が特殊の品質・性能を有することを示したときは、その特殊の品質・性能を欠くことをいいます。
(2)請負契約における瑕疵担保責任
請負契約においても、仕事の目的物に瑕疵がある場合、注文者は、請負人に対し、瑕疵の修補を請求することができます。ただし、瑕疵が重要ではなく、その修復に過大な費用がかかる場合には修補を請求することはできません。また、修補に代えて、あるいは修補と合わせて、損害賠償を請求することもできます。
ここで、「瑕疵」とは、完成された仕事が契約内容で定めた内容どおりではなく、使用価値や交換価値を減少させる欠陥があるか、または、当事者が予め定めた性能を欠くなど、不完全な点を有することをいうと解されています。
(3)債務不履行責任との関係
一般に、契約の内容通りの履行がないときは、債務不履行責任を追及することになります。請負契約において、瑕疵がある場合には、契約の内容通りの履行がないという意味で債務不履行責任を追及することも考えられますが、一般に、予定された工程が最後まで終了しているときは、債務不履行責任ではなく、瑕疵担保責任を追及することになると解されています。
Q 震災によって被害を受けた場合にも瑕疵担保責任を追及できますか?
A 東日本大震災と瑕疵
一般論としては、災害により生じた欠陥は、関連法令、学会・協会の基準などを遵守して十分な注意義務を果たしていれば不可抗力によるものと認定されています。
もっとも、神戸地方裁判所平成14年11月29日判決は、阪神淡路大震災が起因して不同沈下をしてしまった住宅について、「建物の設計・施工・監理に瑕疵があり、それを原因として、本件建物には震災を契機に、被害が発生又は拡大したことが認められる場合、震災の損害も賠償すべき責任がある。」として、工務店に対し、2855万円の賠償を命じました。つまり、地震のおかげで今まで潜んでいた瑕疵が顕在化したような場合には、瑕疵担保責任を追及することができる場合もあるということです。
Q 住宅のひび割れが発生しました。まず何をすればいいですか?
A 瑕疵担保責任を追及するためには、瑕疵がどこにあるのかを特定する必要があります。しかし、住宅の不具合は、瑕疵のある部位そのものに現れるというより、別の箇所に不具合として事象化することが多々あります。そこで、不具合事象自体から瑕疵の判断をするのではなく、その不具合が発生した原因を追及する必要があります。
Q 住宅に瑕疵があり,業者に対して補修を要求したのですが,非常に対応も悪く,不誠実なものでした。そこで,慰謝料を請求したいのですが?
A 原則的には,瑕疵の修補がなされれば,一応注文者の損害は回復したとして,慰謝料は認められません。もっとも,建物が注文者の居住用であって,その瑕疵が生命・身体の安全を害するような場合で,その建物での居住を余儀なくされたような特別の事情がある場合には,慰謝料請求も認められます。ただし,認められる慰謝料はそれほど高額にはならないのが通常です。