有期雇用契約期間の途中で労働契約を解約するという使用者の意思表示は解雇にあたるので,解雇権濫用法理が適用されます。さらに,使用者は,期間の定めのだる労働契約について,「やむを得ない事由がある場合」でなければ,その契約期間が満了するまでの間において,労働者を解雇することができないとされており,この判断は,期間の定めのない労働契約における解雇と比べて,より厳格に判断されます。
派遣社員を受け入れるときは,あらかじめ派遣会社との間において,派遣社員の人数及び派遣期間等を契約することになっています。派遣先の都合で中途解除する場合には,厚生労働省の指針によれば,以下のような措置をとる必要があります。
派遣契約の 解除の事前 の申入れ |
派遣先は、派遣会社の合意を得ることはもとより、あらかじめ相当の猶予期間をもって派遣会社に解除の申入れを行うことが必要 |
派遣先における就業機会 の確保 |
派遣先は、派遣先の関連会社での就業をあっせんする等により、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることが必要です。 |
損害賠償等 に係る 適切な措置 |
①派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることができないときには、少なくとも中途解除により派遣会社に生じた損害(※)の賠償を行うことが必要です。 ※損害賠償は、例えば、次のように行う必要があります。ア派遣会社が派遣労働者を休業させる場合は、休業手当に相当する額以上を賠償イ派遣会社がやむを得ず解雇する場合は、次の賃金に相当する額以上を賠償(ⅰ)派遣先の予告がないために派遣会社が解雇予告ができなかったときは、30日以上(ⅱ)解雇予告の日から解雇までの間の期間が30日に満たないときは、解雇の30日前の日から解雇予告の日までの期間の日数分以上 |
②その他派遣先は派遣会社と十分に協議した上で適切な善後処理方策を講ずることが必要です。 |
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③派遣先は、派遣会社から請求があったときは、中途解除を行った理由を派遣会社に対し明らかにすることが必要です。 |
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代表弁護士 小川敦也(東京弁護士会)